自分分析学

言葉にしてみたい衝動の行き先

「この国のけじめ」読んで

本著の中で特に気になった内容をざっくりまとめる。

http://www.amazon.co.jp/この国のけじめ-藤原-正彦/dp/416367800X

 

市場原理主義への批判

市場原理と自由競争により、我が国は激しい競争社会に突入した。その結果、勝ったものが情け容赦なく全てを取るということが「公平に戦った結果だから」という理屈で許されるようになった。そして「勝てば卑怯でも何でもしてもいい」といった風潮になり、日本人が古来持っていた美徳が失われていった。また勝ち馬に乗れなかった人を嘲笑するようにもなった。

 

成果主義への批判

日本では長い間、会社は従業員のものであった。従業員の忠誠とそれに応えた終身雇用という人間的関係を軸としていた。リストラは禁じ手であり、不況になれば、まず役員から給料を下げ、下に浸透されるという方式をとっていて「普通の人を大事にする」というやり方だった。この方法で経済大国を成し遂げた。しかし、市場原理主義により、会社が従業員のものではなく株主のものになった。株主と会社との関係は買ってから売るまでの期間に限定される。だから、会社への愛情は皆無といってよい。そして従業員の情緒を無視して論理のみを貫くようになりリストラをされる人や非正規雇用が増えた。

 

③個の尊重による弊害

GHQは日本が二度とアメリカに立ち向かわないように「公」から「個」に転換させ日本の弱体化を図った。そして今は「他人に迷惑をかけさえしなければ何をしてもよい」といったような雰囲気がある

 

④愚民政策

英語よりも国語が大切である。中身のあることを話せるようになる方が大事である。英語よりも国語を大切にすべき。また、もっと日本の伝統を学べるような教育にすべき。

 

⑤形質より本質を

本質は、祖国の伝統、文化、情緒、自然。繁栄や軍事力は本質を守るための手段にすぎない。今は、祖国愛が損なわれて、本質が失われつつある。

 

⑥マスコミ

三権の上にマスコミが存在している。民主主義というが、もはや「民」=「マスコミ」である。

 

憲法と世論で伝統を論ずるなかれ

2000年も続いてきた皇統を論ずる原点が憲法や世論であってはならない。先人に対する敬意と歴史に対する畏敬を胸に虚心坦懐で臨むことが最低条件であって、単にその時代の思潮にすぎない憲法やもっと変わりやすい世論を持ち出すと、ほとんどの伝統が存続できなくなる。理屈も持ち出してはならない。

 

⑧「役に立たない学問」を軽んじるなかれ

昨今は、すぐに役に立つ学問を選んで、そうでないものを切り捨てている。歴史を振り返ると、数学とか物理のような、一見何の役に立たない基礎科学を発展させた国だけが、科学技術大国となっている。また、数学の天才が生まれる主な理由として「役に立たないことを大事にする」という高邁な精神があった。

 

⑨「社会勉強」など必要ない

学生は親のすねをかじれるだけかじるべきである。学校に出たら否応無く一生社会勉強である。学校に居るうちは、教養を身につけて、真の自立のための知的判断力や大局観を身につける必要がある。教養とは歴史、文学、科学、芸術である。

 

⓪美辞麗句に酔うことなかれ

美辞は人間の思考を停止させ冷静な検討吟味を妨げる

 

感想

市場原理主義は経済・科学技術の発展のために導入されて、実際に功をなしていると思う。ただし、正しい倫理観が無いと「自由」であるために「卑怯」や「非道徳」的な行動をするものが増えてしまう。日本の伝統的な美徳が再度浸透してから、グローバルな規模の市場原理に乗っかると本質の損失は無く、発展が可能になったのではないか。

海外における道徳規範は宗教にある。日本における道徳規範は文字として明記はされていない。基本的には語り継がれてきただけである。今は、語る側の人間が語れないということが起きている。古典を道徳規範にして教育界を中心に浸透させると、美徳が再度浸透するのではないか。

 

②ネットや人や物の流れが活発になり、グローバル社会に乗っからざる得なくなっているのが現状。そして世界規模の過激な競争社会に乗っかって世界各国と戦って勝たなければならない。その為には分かりやすい成果主義がより合理的であると考える。日本が経済大国になれたのは年功序列という制度おかげではく、日本人の勤勉であったり思いやりがあったりする誇るべき民族性に起因すると思う。その民族性を取り戻した上に、成果主義の制度が乗っかると、より強い国になる。

 

⑧過激な競争社会がすぐに実利に繋がる分かりやすい「役に立つ学問」だけをしなければならないといったような風潮をつくっているように思える。競争はほどほどに。

 

⑨学生であるので学生でしかできないことをするのが良いと思う。

社会勉強は就職活動で自身の社会性を表現しなければならないので少しは必要である。しかし、何もアルバイトである必要はない。何か社会をより良くするようなプロジェクトをつくったり、起業をしたり、もっと学生でしかできない、学生だからこそ可能性の膨らむことをした方がいいと思う。

 

⓪具体性に慣れるべし。

 

終わり